2014-06-03から1日間の記事一覧

子どもが髄膜炎になるのを容認できるか

子どもが髄膜炎になるのを容認できるか 予防接種も同様です。インフルエンザ菌という細菌がいて、子どもの髄膜炎や喉頭蓋炎といった恐ろしい病気の原因になっています。日本では毎年何十人という子どもがこの菌の犠牲になって命を落としています。命を落とさ…

がん検診は無意味ではない

近藤誡氏はがんもどき理論を見事に唱えましたが、その一方で、「がん検診は無意味」と主張してきました。がん検診が患者の総死亡率を低下させていないから無意味だというものです。 がんを全例治療しなくてもよいという近藤氏の主張には共感した私ですが、「…

メタボは実在しない

恣意的に規定された、実在しない約束事としての病気の最たるものはメタボ、そうメタボリック症候群です。内臓脂肪蓄積、高コレステロール、高血糖、高血圧のある状態で、これが将来の心血管性疾患、脳卒中のリスクが高いので「病気」と認定されました。これ…

生活習慣病は実在するか

結核、インフルエンザ、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザのような感染症を例にとって、感染症とは実在しない現象にすぎない、という話をしてきました。実は、これは感染症だけの話ではありません。すべての病気は「現象」にすぎず、病気は実在しないの…

MRSA腸炎は実在するか

MRSA腸炎という疾患概念があります。これが実在するかどうかが、専門家の間で大きな議論になっています。 MRSAというのは黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌の一種です。多剤耐性、すなわち抗生物質が効きにくくなっているのが特徴で、皮膚や血管、いろい…

薬に副作用があるのはあたりまえ

すべての薬には副作用があります。だから、副作用が存在するというそのことだけでは、大きな問題にはならないはずなのです。 中枢神経に副作用を起こす(かもしれない)薬はタミフルだけではありません。例えば、抗生物質にニューキノロンと呼ばれる種類があ…

wonderを使った依頼文は難しい

私は高校生の時はじめてwonderという動詞にお目にかかり、英和辞典を引くと「いぶかしむ、不思議に思う」などと書かれているが、英文を訳すにあたってそういう訳語を使おうとしてもなかなかうまくいかず、いったいどうなってるのだろうと、まさに「不思議に…

I love you. のloveの本質

loveは「愛」であり、「愛する」であると割り切ってよいのだろうか。 日本人にとっての、いや、日本語の「愛」っていったい何を意味するのだろうか。 ここで「愛」についての哲学的な探求をする意図はない。しかしながら、たいていの日本人にとって、I love y…

書き始めは幾何学の世界

何と言っても、書き始めが最大の難関である。いくら文章を書くのに慣れていても、この難関は変らない。全休で三十枚とか五十枚とか書く場合、最初の数枚が自分の気に入るように書げれば、大体、その後はスラスラと運んで行く。そうなると、私を包んでいた不…

研究論文における接続詞や接続助詞の使用頻度について

眼に見える世界についても、眼に見えぬ世界についても、日本人は、一つのシーンをパッと掴む能力は相当にあるらしい。勘がよい、とか、直観的だ、とか言われる点てある。けれども、シーンとシーンとを結びつけて、全休の構造をしっかり掴む、いや、しっかり…

序論と結論の粋な書き方

「とても面白い話があるのだが……」と語り始める人がいる。実際、その話がとびきり面白かった場合にぱ、聞く人は腹を抱えて笑うであろう。そして、「とても面白い話があるのだが……」という前置きは、聞き手の内部に笑う下地を作っておく効果があったことにな…

書き始めの爆発は1回しか起こらない

どんなに短い文章でも、これを書き上げるというのは、いろいろな観念が積み重ねられた揚句の一つの爆発である。この意味でも、文章は一本勝負である。文章は一つの爆発である。だが、一貫した論旨で友人に話すというのも、これまた一つの爆発である。雄弁に…

引用句に関して:「清水幾太郎:論文の書き方」

引用句は、思想の所有権を明らかにするために用いることが多い。それが誰のものかが広く知られている場合、わざわざ所有権を明らかにするのは、不必要であるし、その原典の頁数まで挙げるに至っては厭味である。マルクス及びエングルスの『共産党宣言』の冒…

大学生の用語選択の傾向について:「論文の書き方(清水幾太郎)」

或る大学の教師をしている若い友人がある。この友人は、専門は社会科学の方面であるが、学生に文章の勉強をさせねばならぬと考えて、一年に何回か、リポートを提出させている。先日、この友人から次のような話を聞いた。リポートは一年生から四年生までの全…

経験の言葉から抽象の言葉へ:『論文の書き方』清水幾太郎著より

外国の人間は、幼い時は日本人より不利だが、大きくなると、日本人より有利らであるというところまでは友人も説きはしなかった。しかし、抽象的用語については、西洋の人間の方が私だちより遙かに有利であることは明らかである。というのは、日本人にとって…

明治初年では造語作業、翻訳に苦心

多くの抽象的観念は漢字によって表現されている。漢字は、私たちの遠い祖先が中国から輸入した文字であり、日本の片仮名や平仮名も、この漢字を基礎にして作られている。他方、私たちは、明治維新以後、多くの抽象的観念を西洋の文献から学んで来た。即ち、…

英文レポートのまとめ方

レポートの文章構成もほぽそれに準して、主要部分は次のようになっています。 Introduction→Body→Conclusion 常にこの流れを意識してまとめてください。 Introductionの前にはAbstractがつきます。 Bodyには通常3つのトピックを盛り込みます。 レポート…

Northera(ドロキシドパ)をFDAの皮膚用薬・眼科用薬諮問委員会が推奨

Chelsea Therapeutics International社は本日、FDAの皮膚用薬・眼科用薬諮問委員会(Cardiovascular and Renal Drugs Advisory Committee )が6対1でNorthera (droxidopa)承認を推奨したと発表しました。同薬は、交感神経に変性がみられる神経学的疾患(primary…

メルク社が『Liptruzet』をリコール:パッケージに欠陥

メルク社の医薬品『Liptruzet』というコレステロール薬がパッケージの欠陥により回収されています。 Liptruzet錠を包んでいるアルミ箔が空気を通し、医薬品の効果を減らす可能性があると、メルク社は話しています。 今回のリコールの対象は、去年5月から発売…

出典が明示されていないと「盗用」とみなされる

出典の明示は極めて大切なことで、ここで何度繰り返しても強調し過ぎることはありません。Intertextuality (テキスト相互関連性)とはロシアの文芸評論家バフチンの言葉です。簡単に言えば、自分の考えは、必ず、以前、誰かがどこかで囗にしているということ…

英語文献をまとめるテクニック

英語文献を読む目的にはいろいろありますが、いずれにせよ、せっかく読んだ内容はぜひ整理して、資料として残したり、きちんと頭の中に入れておきたいものです。 そのためには、簡単なレポートにまとめるのもひとつの手段です。読んだ内容をどの程度理解した…

論文ではまず、何を書くか(テーマ)を決める

ある主題が与えられ、それについてペーパーを書くとして、もし書き手が何のアイディアもその主題については思いつかないからといって、注射器でパッとアイディアを注射するというわけにはいかない。せいぜい、「この点に注目しなさい」、「このようなアプロ…

ブレインストーミングでテーマ領域を限定

ごこでは仮に、「男性と女性」をテーマに選ぶことにしよう。 これなら専門的でなく、人々がすでに知識も興味ももっているからである。だが、領域がいかにも広く、漠然としている。1パラグラフなり、一つのエッセイなりにまとめられるよう、絞り込んでいかな…

思考の幅を広げるトレーニング

さて、ここに、1人の学生が「男性と女性」についてブレインストーミングした結果がある。以下、学生Aとして話を進める。 「ソフィア・ローレン」「女優たち」「女性美についての男性たちの意見」「女性たちの描く男性像」「これらは間違っているか?」 な…

日本人は分類作業が苦手:分類の歴史

ここでちょっとサイズ分類の話に寄り道をしよう。 さて、アイディアのサイズを決め、大は大、中は中と組み合わせたり、同じものをまとめ、違うものと対比させたりという作業であるが、日本人を教える外国人教師たちの間では、 「日本人はこの作業が不得意」…

ヒエラルヒー的・ダイアグラムの欠点

ある欧米人の教師は、日本人学生たちに、「ディベートの能力は必要ですか?」 と質問したという。 「もちろん」という答が何人からか返ってきた。 「なぜ?」 「自分の考えていることをはっきり言えるから」、「コミュニケーションに役立つ」、「議論で負け…

書く前の準備:アイディアのメモ

゛書く″とは、どういうことなのか? 私たちの頭の中に浮かんでくるいくつものアイディアをただ書きとめるというだけの作業ではない。すべての中心に、゛考えること" (thinking)がある。この“thinking"という単語が英英辞典でどう定義されているかというと、“…

重要な下書きの推敲

゛書く″作業を、私たちはたんなる一つの行動のように扱ったりする。たとえば、「She wrote a letter to her parents and then she went to bed」のように、「彼女は両親に手紙を書いた」を最初の行動、「それから寝た」と第2の行動と、第1と第2を同等に…

外国語論文のよい書き手は母国語にも秀でている

母国語能力が前提 多くの方は、これまでにも多くのものを書いてこられたに違いない。小学校の絵日記、作文にはじまって、リポート、小論文、エッセイなど、多くの分野のものを手がけた経験がおありであろう。 だが、日本で育った日本人ならば、ふつうはその…

よい書き手の条件は語彙や文法力以外にある

ある研究者は、母国語が英語でない2人の学生たちが、英語ペーパーをどう書くのかを観察した。よい書き手とはどういうものかを探るためである。 学生①-大学1年生であるが、よく書ける。 学生②-大学院の学生ではあるが、書く能力はあまりない。 観察者は、2…