腫瘍マーカー診断

 

 腫瘍マーカーによる診断ぽがん細胞が分泌する微量の物質を血液や尿、便などの中に検出し、治療効果の判定やがんの病期診断に役立てようとするものである。現在、日常の臨床で使われている腫瘍マーカーを表6にまとめた。これらのマーカーの多くは、手術や化学療法、放射線療法などによって値が低下あるいは正常化し、再発や転移などが起こるといち早く再上昇することが多いので、病勢の判断や治療効果の判定によく使われる。

 マーカーによるがんの早期診断は昔からがん診断の夢の一つであったが、ある程度がんが進行しないと異常値を示さないため、早期診断に役立つマーカーは数少ない。現在注目されているのは前立腺がんの診断に使われている前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen。 PSA)で、世界中で汎用されている。tS冫は前立腺内の上皮細胞が分泌する物質でプロテアーゼ(蛋白分解酵素)の一つである。tSyは「前立腺」の特異抗原で、「前立腺がん」の特異抗原ではないため、前立腺肥大症でも異常値を示すAがある。値だけでは両者の区別ぼっかず、生検といって前立腺組織を少量とって病理診断をする必要がある。しかしで∽冫の導入以来、世界中で早期の前立腺がんが数多く発見され治療効果をあげている。

 最近開発されたlOQXtという腫瘍マーカーは、特殊なカエルの皮膚分泌物の中に検出された物質を研究しているうちに発見された。肺小緇胞がんといって特殊な脯がんの診断に有効であることが証明された。現在二つの企業から診断用のキッいとして販売されており、保険診療にもとり入れられた。この研究ぽがん克服新十か年戦略の成果の一つであり、国立がんセンター研究所と企業との協同研究を成功させた例としても注目される。