内視鏡検査

 

 内視鏡検査は咽頭喉頭、気管、気管支、食道、胃、十二指腸、脈管、大腸、腎盂、尿管、膀胱、関節の中などを、フレキシブルなファイバースコープや、棒状の硬性鏡を使って、腔内の観察を直接行なう方法で、わが国のお家芸の一つといえる。

 国立がんセンターではフレキシブルな気管支鏡を企業と協同で開発し、初めて国際学会で発表した。それまで、気管内を直接観察するには、患者さんは頸をのけぞらせ、口から喉までをなるべく真直ぐにして、その中に硬性鏡を挿入するしか方法がなかった。患者さんの苦痛はもちろん、医師もたいへんだった。気管から気管支は次々と枝分社する樹の枝のような構造で、その中に入る細くて、管の形に合わせて自由に曲がる気管支鏡が開発された時の反響の大きさは想像に難くない。発表者の池田茂人博大か国際学会の席上、スライドを使ってこの新しい気管支鏡の説明をした後、明るくなった会場で、「今お話ししたフレキシブルな気管支鏡はこれです」、とポケットの中に丸めておさめてあった実物をとり出すと会場は騒然となり、次の演題に支障が生ずるほどだったという。