保育園でずっとほかの子どもだちと一緒だったうえ、大半の時間をあおむけに寝て過ごしていたため、細菌はJ.P.ののどから簡単に広がり、耳の痛みが再発した。とうとう、両親は朧をたすための小さなチューブを、手術で息子の耳に挿入することに同意した。これは、再発性の耳の感染症に、小児科ではよく実施する手術だった。鼓膜に穴をあけ、感染症のせいですぐたまる膿を排出するために、細かいチューブを両方の耳に装着するのだ。そう考えるだけで、親はぞっとするのだが。

 三ヵ月もすると、チューブは取りはずされ、J.P.の鼓膜は回復したようだった。だがJ.P.の耐性肺炎球菌の物語はまだつづいた。J.P.の耳はまた痛くなり、またもや症状がでたのである。一年もたつと、症状はおさまったかに見えた。J.P.の免疫システムが成熟し、昼間は立ってすごせるようになったからだろうと、母親は考えた。それでもJ.P.は、今後ほかの子どもより感染症にかかりやすいだろうし、こうした感染症抗生物質で散らすのはどんどんむずかしくなるだろうと思われた。