運動、知覚に関係する症状

 

 脳腫瘍では頭が痛い、吐き気、嘔吐、物が二重に見えたり、目まいがするなどの視覚の異常、眼でとらえたものの一部に見えにくい部分が生じる視野の異常、手足の動きが不自由になったり、歩く際に片側に曲がってしまって真直ぐに歩けない、といった歩行障害なども起こり得る。骨肉腫や軟部腫瘍など整形外科の領域の腫瘍は手や脚の患部の腫れと痛みが重要な症状である。骨肉腫は一般に骨の発達の旺盛な思春期の人達に発生することが多く、とくに膝を中心とした下肢に多いのが特徴である。脳腫瘍の一つである聴神経腫瘍の場合、難聴とか耳なりが重要な症状だが、そうした症状がはっきりするずっと前に、「普段、自分は左耳で電話の受話器の声を聴いているのに、最近、右側の耳で聴くことが多い、おかしい」と思って病院を受診し、左側の早期の聴神経腫揚が見つかった人の例がある。自分の行動や毎日の生活習慣に注意を払っていると、こんなわずかな日常性の変化からでも病気が見つかることがある。

 自分の健康のことにあまりに神経質になり過ぎても人生、愉快ではないが、自分の排出物や排泄物に注意を払うことは習慣化したいものである。何にせよ、血が混じるのは要注意で、鼻血、血痰、血便、血尿、血性のおりものなどは身体が知らせてくれる大切なサインの一つかも知れないと考えるようにしたし。

 しかし、私たちが経験する病気ぽがんだけではなくて、たとえば血尿をとりあげてみると、血尿を起こす病気は実に多彩である。患者さんの数のうえからいえば尿路結石や前立腺大症などのほうががんよりずっと多い病気なのも事実である。血尿の原因は何が鑑別診断をきちんとすることが大切である。