外毛根鞆腫

 

外毛根鞆腫trichilemmoma〔Headington―F rench 1962〕

   顔頭部の小結節で、ときに皮角状〔trichilemmal horn : verrucous trichilemmal tumor に同じか〕.表皮または毛包に連絡する房状または層状の増殖で、外層は柵形成を示し、中央はグリコーゲンに富んで明るい細胞より成る.これが真の外毛根鞘角化かpheftotypeにすぎないか議論のある所である.この典型のほかにintermediate type 〔漏斗を構成する外毛根鞘細胞からなるもので毛孔腫・毛漏斗腫・ケラトアカントーマを含む〕が考えられている.多発型はCowden病の一症状で顔・口部に生じ、乳癌合併率が高い.

外毛根鞘嚢腫trichilemmal cyst 〔pilar cyst〕

  主として頭部にみられる皮下嚢腫で、粉瘤と臨床的に区別しがたいが、70%が多発して優性遺伝性.組織学的に壁細胞は細胞問橋に乏しく、基底部では柵形成がみられ、腔側の細胞は大きくふくらんで明るく、顆粒層を欠く.1/4に石灰沈着あり.かつて仮性粉瘤とも呼ばれた.

proliferating trichilemmal tumor

  高年者の頭部〔90%〕に生ずる1~10 cmの腫瘍でときにびらん・潰瘍化.①表皮と連続なし〔外毛根靹嚢腫の増殖?〕、②皮表と連続、③上層に外毛根鞘腫、下方に増殖巣のあるもの〔外毛根鞘腫の増殖?〕の3つの像あり.前癌性性格あり.

 外毛根鞘癌:2型あり.①malignant trichilemmoma : bowenoid 異常角化あり.表層には外毛根鞘性角化.角化性丘疹~肉芽腫様.②malignant trichilemmal tumor : 中央に外毛根鞘性角化、これを囲んで異型細胞増殖.両型併発あり.色素性乾皮症とケラトアカントーマ:古くから色素性乾皮症に生じた有棘細胞癌は予後が良いとされていたが、その大部分はケラトアカントーマであったと考えられる.一方本症の年少者例はほとんどが色素性乾皮症患者に発したものである.