2014-06-04から1日間の記事一覧

悪性黒色腫: メラノサイトの悪性腫瘍

〔発生母地〕 1)正常でメラノサイトの存在する部位〔de novo発生〕:皮膚〔表皮基底層・真皮・毛母上半〕、脳軟膜、眼球脈絡膜。 2)色素l生母斑:その境界部母斑巣より。 MM に先行しだ色素斑”が色素l生母斑であったとの確認は実際上きわめてむつかしく、M…

バイアスの排除は原理的に不可能

論文の評価をするときに大切なのは「バイアスを見抜く」ことにあります。バイアスとは、偏見、先入観のような意味を持つ英語です。論文はできるだけ客観的に、科学的に作るものですが、どうしても私たち医者は先入観を持っています。特に問題なのは私たちの…

瑕疵があるから価値がある

論文を読む上で一番大事だと私か思うのは、方法や結果ではなく、「制限」の部分です。英語ではこれをlimitationと呼びます。もちろん、研究において方法や結果は重要です。重要ですが、この部分よりも論文の価値の高い低いを区別するのにとても役に立つのが…

一流誌の論文は無批判に受け入れられるか

さて、ではNew England Journal of Medicineのような一流誌に載る科学論文であれば、誰が読んでも文句なしの完璧な研究発表なのでしょうか。実はそんなことはないのです。いや、このような一流誌に載っている論文は世界中の専門…

読めばわからなくなる日本の新聞

ところで、ニューヨークタイムズやザータイムズといったアメリカやイギリスの新聞を読んでいると、しばしば医学記事が載っています。最新の研究結果を一般のみなさんに紹介しているのです。例えば、「今週のNew England Journal of Med…

学術論文は英語で

臨床系の科学論文でもっとも権威のある学術誌はほとんどアメリカとイギリスが出版しています。現在、他の学術領域と同じように、英語こそが国際言語の王様なのです。 昔はドイツ医学が世界をリードしていましたから、医者はみんなドイツ語を勉強し、ドイツ語…

統計分析も恣意的に決められる

くじ引き試験で比較する2群に差があるかとうかを検定するには、統計学的手法を用います。統計学を用いるのだから科学的に正しいと思われがちなのですが、必ずしもそうではありません。統計学的有意差も恣意性のもたらした「約束事」です。少なくとも恣意性…

大規模試験だから価値が低い

ときどき製薬メーカーさんが私のところにやってきて、「これは4万人の患者さんで行った大規模くじ引き試験です」と鼻息荒く宣伝します。たくさんの人を集めてやった、お金もたくさんかけてやった大規模の研究結果で、その薬が「効く」ということがわかった…

関心相関的に真のアウトカムは何か

「そんなことはない。先生にもらった高血圧の薬、私はあれを飲んだらてきめんに血圧が下がった!」。そう反論される方もいらっしやるかもしれません。 確かに、血圧の上げ下げはわかりやすい一目瞭然の指標です。だから、血圧の薬を飲むと血圧が下がるという…

くじ引き試験が役に立つのは微妙な問題だけ

ここでまたスカイダイバーたちにご登場願うとしましょう。スカイダイビングのときのパラシュートの価値を検証したくじ引き試験は未だかつて存在しませんから、くじを引いて、半分の群はパラシュートあり、もう半分はパラシュートなしでスカイダイビングをし…

科学論文とは何か

科学論文すべてに、肯定的に評価できる部分と、否定的に批判できる部分があります。肯定的な評価が少しもできない、取り柄が全く存在しない論文はほとんどありませんし、逆に、どんなに優れた論文と思えても、目を皿のようにして読み込めば問題点、瑕疵を見…

アポクリン汗器官起原性腫瘍

1.アポクリン汗嚢腫apocrine hidrocystoma 〔Smith 1974〕 [同義語]アポクリン嚢胞腺腫apocrine cystadenoma 〔Mehregan 1964〕 〔症状〕顔面〔とくに眼囲〕・耳・頭皮部に好発、単発性、半球状隆起性、透明ないし青色調〔メラニン・リポフスチンによる色…

乳頭状汗管嚢胞腺腫、澄明細胞汗腺腫

6.乳頭状汗管嚢胞腺腫syringocystadenoma papilliferum 従来はアポクリン汗器官性と考えられていたが、 Pinkus-Mehregan〔1969〕は、脂腺母斑に合併せずかつアポクリン汗腺構造を欠くもののあることから、エクリン乳頭状汗管嚢胞腺腫の存在をも指摘した〔c…

エクリン汗器官起原性腫瘍

エクリン汗器官の各部から種々の分化を示す腫瘍で、 CEA陽性のことが多い. 1.エクリン汗嚢腫eccrine hidrocystoma 温熱環境中で生ずる粟粒大の透明な嚢腫状丘疹ないし小水疱で多汗症の中年女性の顔面〔とくに眼囲〕に多い.エクリン汗管の貯留嚢腫. 02.…

脂腺腺腫、老人性脂腺増生症、フォアダイス状態

1.脂腺腺腫adenoma sebaceum 顔面・頭部に単発する扁平隆起性ないし有茎性の小腫瘍で、多房状に増殖した脂腺塊より成り、分化の程度は種々.プリングル病を脂腺腫と称したのは、誤りである〔oas-p. 367〕. Muir-Torre症候群:脂腺腺腫[その他の脂腺腫瘍]・…

多発性毛包嚢腫症

多発性毛包嚢腫症multiple follicular cysts 〔同義語〕多発吐脂腺嚢腫症(sebocystomatosis、 steatocystoma multipleχ) 〔症状〕青年男子に好発し、豌豆大までの半球状に隆起した硬い腫瘍で、集族性に多発、前胸正中部・頚項部に好発する. 〔組織所見〕数…

外毛根鞆腫

外毛根鞆腫trichilemmoma〔Headington―F rench 1962〕 顔頭部の小結節で、ときに皮角状〔trichilemmal horn : verrucous trichilemmal tumor に同じか〕.表皮または毛包に連絡する房状または層状の増殖で、外層は柵形成を示し、中央はグリコーゲンに富んで…

ケラトアカントーマkeratoacanthoma

〔同義語〕molluscum pseudocarcinomatosum 〔症状〕 1)中央腋窩を有する角化性丘疹で、比較的急速に増大、形は噴火口に似(crateriform)、角栓を容れ、周囲には糺暈をめぐらす. 2)大部分が顔面に生じ〔90%以上〕、頚・前腕・手背がこれに次ぎ、単発、まれ…

石灰化上皮腫、毛孔腫

calcifie Malherbe 〔1880〕 〔同義語〕毛根腫pilomatricoma〔Pinkus-Mehregan 1969〕、毛母腫pilomatrixoma〔Forbis Helwig 1961〕. 〔症状〕皮内に硬く触れる指頭大までの腫瘍で、比較的若年者に多く、やや女子に偏好、20歳以下に多い.上肢・顔面・頚部に…

毛包腫、多発性丘疹状毛包上皮腫

毛包・脂腺・汗器官より生ずるもので、既述の母斑〕から後述の癌までの腫瘍をLever (1975)が分類している.この分類 にはまだ多少の改良の余地があるが〔例えば毛孔腫やケラトアカットーマが除外されている〕、きわめてクリアカットなので理解しやすい. 〔…

レーザー・トレラ症候群、稗粒腫

レーザー・トレラ症候群Leser-Trelat syndrome : 数ヵ月のうちに老人性疣贅・老人性色素斑が急速に多発、かつ皮膚 痒症を伴うもので、内臓悪性腫瘍の合併率が高い.しかし黒色表皮腫との合併も少なくなく、その疣贅のきわめて多い一亜型という考えもある. de…

ブロッホ良性非母斑性黒色上皮腫第II型、アクロコルドン

ブロッホ良性非母斑性黒色上皮腫第II型、アクロコルドン 皮膚腫瘍の分類は種々あるが、これは、腫瘍・母斑・過誤腫などの概念が必ずしも一致しておらず、さらには腫瘍の本態・悪性度に関しても見解の相異が大であるためである. 上皮性腫瘍 表皮は被覆表皮(s…