石灰化上皮腫、毛孔腫

 

  calcifie Malherbe 〔1880〕

 〔同義語〕毛根腫pilomatricoma〔Pinkus-Mehregan 1969〕、毛母腫pilomatrixoma〔Forbis Helwig 1961〕.

 〔症状〕皮内に硬く触れる指頭大までの腫瘍で、比較的若年者に多く、やや女子に偏好、20歳以下に多い.上肢・顔面・頚部に好発、単発性.被覆表皮は正常、ときに腫瘍上部に水疱を形成.遺伝なし〔まれに遺伝性でmyotonic dystrophy と合併〕.

 〔病因〕毛根起原性.

 〔組織所見〕濃染する好塩基性細胞(basophilic cell)と、淡紅色、核が消失して明るく抜けてみえる陰影細胞(shadow cell)とから成り、両者間に移行像があり〔移行細胞(transitional cell)〕、しばしば石灰沈着を伴う.前者は毛母細胞由来、後者は毛皮質と考えられる〔毛母腫〕.旧いほど前者が減り後者が増える.周囲に結合組織の増殖があり、異物反応を伴うことも多い.石灰沈着は真皮中にもみられる.陰影細胞や結合組織中に化骨(ossification)をみることもある.
 
毛孔腫poroma folliculare 〔Dupenat-Mascaro1963〕

 〔同義語〕反転性毛包角化症inverted follicular keratosis 〔Helwig 1954〕

 〔症状〕疣贅状・乳頭腫状の小腫瘍で、単発が多く、剛毛部すなわち顔面・頭部に好発.男子高年者に多い.

 〔組織所見〕乳頭腫で中心に角栓が著明.基底細胞様細胞(basaloid cell)と有棘細胞様細胞(squamoid cell)が増殖、主として前者の中に大小の玉葱輪切り状の好酸性の有棘細胞巣(squamous eddies)が散在.日本人ではblockade melanocyte の共存が多い.

〔病因〕毛包漏斗部の良性腫瘍.

[予後]良好.まれに有税細胞癌化.

〔治療〕切除.

  basosquamous cell acanthoma[Lund]は、 basaloid、 squamoid細胞の増殖から成り、これにblockade melanocyte が加わる.前記squamous eddies のみられることもあり、毛孔腫と同一または近縁と思われる.