2015-04-09から1日間の記事一覧

発がん遺伝子

がん細胞(cancer cell)は特定の遺伝子の変異により細胞増殖の制御がはずれて無秩序に増殖するようになった異常細胞である.がん発生にかかおる遺伝子にはがん抑制遺伝子(suppressor oncogene,tumor suppressor gene)の2つに分類される. がん遺伝子とは正常…

肥満体質の遺伝

肥満は美容の点で嫌われているだけでなく,糖尿病・心筋梗塞などの成人病の危険因子の1つであることから,スリムな体型を保つことは多くの人の関心事となっている.しかし世の中にいくら食べても太らない人や,たいして食べないのにすぐに太ってしまう人がお…

アルツハイマー病

老年性痴呆症の患者の数は高齢化社会の到来とともに着実に増加しているが,そのうちの何割かは1907年にアルツハイマー(A. Alzheimer)によってはじめて報告されたアルツハイマー病(AD : Alzheime内disease)に罹患している. ADの特徴は脳の中に神経原線維と…

多因子性遺伝性疾患と糖尿病

1つの遺伝子の変異によって引き起こされるタイプの遺伝性病患はポジショナルクローニング法の進展によって原因は労力さえかければ解明できるまでになってきた.しかし,体質としての遺伝性素因が存在することの予想はつくものの,1つの遺伝子変異では説明…

繰り返しの数が原因となるトリプレット・リピート病

1990年代に入ってトリプレット・リピート病(triplet repeat disease)と呼ばれる奇妙なタイプの遺伝性病患が注目されるようになった.トリプレット・リピートとはCAG, CGGなどの3塩基を単位としたヒトのゲノムに散在する反復配列である.健常人においてもこ…

 ポジショナルクローニングによる原因究明

さて, 1980年代も半ばにさしかかってくると,原因となるタンパク質が見当もつかない難病さえ解決してしまう,ポジショナルクローニンブ(positional cloning)という切れ味のよい方法論が出現した. 解析の原理はモーガンが発見した遺伝子連鎖という現象に基づ…

遺伝子マーカー

ヒトのゲノムは約30億塩基対からなるが,塩基配列には微妙な個体差が存在する.両親由来の1対の相同染色体に1対存在する対立遺伝子の間にも塩基配列の小さな差異が存在する.その違いを検出するために開発されてきたのが遺伝子マーカーである. 塩基配列上…

遺伝子の変異を原因とする遺伝性疾患

遺伝的組換え技術の進展により,特定の遺伝子の塩基配列までもが決定されるようになってくると,医療関係者のあいだではこの技術が遺伝性病患の治療に使えるのではないかという期待がふくらんでいった.そのために,まず病気の原因となる遺伝子上の変異点を…

ブタが提供する移植臓器

ヒトにおける臓器移植の技術は免疫抑制剤などの開発の進展により近年著しく進歩しており,多くの患者が命を救われている.そのおかげで世界中で臓器移植を希望する患者が激増しているのに比べ,臓器提供者の数は増えず,慢性的に移植臓器が不足する状態が続…

アブザイム

動物は微生物の感染に抵抗する手段として免疫(immunity)能力を発達させている.哺乳類では血液中の白血球の一種であるBリンパ球において生産される免疫グロブリン(immunoglobulin)と呼ばれるタンパク質が抗体(antibody)として,外来異物としての抗原(antige…

ペプチド核酸

ペプチド核酸(PNA : peptide nucleic acid)はタンパク質を構成するアミノ酸の連なった分子でありながら,核酸と類似の性質を持たせた新しいバイオ分子である. PNAの基本骨格は,特殊なアミノ酸である2-アミノエチルグリシンが,ペプチド結合により連なる…

 アプタマー

アプタマー(aptamer)とは,ラテン語で適合(fit)するという意味を持つ語(aptus)と,オリゴマーの接尾語(mer)を合成してつくられた用語である.特定の生体物質(とくにタンパク質)に特異的に結合して作用する小さなRNA分子を意味し, PCR法を利用して人工合…

 アンチセンスRNAとコードブロッカー

アンチセンス(antisense) RNAとは, mRNAと相補的(逆向き)な塩基配列を持たせ,細胞内に極微のガラス針を通して注入し,本来のmRNAとハイブリッドを形成させてタンパク質への翻訳を阻止する役割を持たせ九分子のことである.実際にはKNAは細胞内に注入…

役にたつリボザイム

チェック(T. Cech)は1981年,纎毛虫の細胞の中に酵素(enzyme)活性を持つ特殊なRNA分子をはじめて見いだし,これをリボザイム(rybozyme)と名づけた.リボザイムはMg2+とグアノシン存在下で自身のスプライシング反応を進行させる.この性質を利用してR…

 タンパク質工学

遺伝子を試験管の中で改変することで,自然界にはない人エタンパク質を自在に設計して大量に製造するタンパク質工学が盛んになってきた. DNA化学合成やPCRを使えば遺伝子の塩基配列を一部分変化させることで産生されるタンパク質のアミノ酸を自在に変化で…

貴重な医薬タンパク質の大量生産

遺伝子操作技術が実用化されてからまず取り組まれたのが,これまで高価な医薬品であった稀少タンパク質を大腸菌に大量生産させることであった.従来は1人の小人症の患者の1年間の治療のために必要な成長ホルモンを調製するためには数十人分のヒトの死体の…